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さとみの妄想伝説
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相棒 ウソ感想文(感想文に見せかけた妄想小説です)
相棒 シーズン10 第6話 BaLa色のコルダ 〜Primo Passo〜(2014.04.23)

(神戸期の話です)神戸尊は、おしゃれなライブハウスで開かれた、管弦カルテットのライブを見に行った。
そしてもちろん、帰り道に殺人現場に遭遇することとなったのだった。

ライブハウスの非常階段の下で、女が横たわって死んでいるのが発見された。
神戸は死体をなるべく見ないようにしながら、冷静に的確な指示を出した。なるべく死体を見ないようにしながら。

そして神戸は携帯電話で杉下右京を呼んだ。

被害者の名前は、十二俣 翔子(じゅうにまた かけこ)。カルテットメンバーのプロデューサーのアシスタントをしていた。
プロデューサー(以下、Pさん)は中年男性だ。名前は或前 鳥利(あるぜん とりり)。
たとえSideM(メンバー全員男性)であろうともPさんは男であるべきだ。
Pさんが男なら腐女子は大歓喜。女なら萎え切ることは言うまでもない。

Pさんに話を聞く。Pさんは「翔子は私によくなついていて、かわいい部下だった」と述べた。
カルテットのメンバーにも聞き込む。

メンバーは4人の男性だ。
柚藤 静(ゆうとう せい)……フルート兼ボーカル。優雅なふるまいと高い演奏力から「ミスター優等生」と呼ばれている。
縫井 クルミ(ぬい くるみ)……トランペット。柚藤の親友。パンフレットに3回も書くくらい親友。きっといつまでも親友。
皿武 烈人(さらぶ れつと)……ヴァイオリン。名前は「れつと」だがアルファベットで書く時は「R」じゃなく「L」にしている。
佐塚 明日樹(さつか あすき)……ピアノ。翔子の幼馴染み。皿武とはケンカップル。

ライブの前半と後半の間に衣装変えの時間があった。柚藤が言うには、その時に非常階段でタバコを吸っている翔子を見たそうだ。 つまりその時まではまだ翔子は生きていたことになる。

柚藤はミスター優等生と呼ばれてるが、うさんくささ150パーセントだ。 他の3人から離すと、邪悪な本性をむき出した。
「俺は優等生なんかじゃないぜ。底意地の悪い鬼畜だよ」
柚藤は、唇を尖らせて不気味な笑顔を浮かべながら続けた。
「感情に任せて行動し、イライラや怒りが抑えきれない純粋な人間なんだ。それをあの女にうっかり見つかっちゃってさ。鬼畜だってことファンにバラされたくなかったら口止め料をよこせだってさ。ふざけやがってよ」

タバコのことを問うと、「あいつ俺の前でタバコ吸おうとしてたから、外で吸えって言ってやったよ。この部屋にも灰皿あるけど、ケンカしてる相手になんか吸わせてやんない」と毒づいた。

『衣装替えの時まで翔子は生きていた』という柚藤の証言が本当なら、全員にアリバイがあることになってしまう。
ミスター優等生と呼ばれている彼のウソを暴かなければ、事件の真相には迫れない。
「彼は、一筋縄ではいかないかもしれません」

翌日、二人は縫井が教えているトランペット教室に向かった。
「柚藤さんとはずいぶん、仲がよろしいんですねぇ
いやらしげな表情で杉下が言うと、縫井はあっさり答えた。
「おれが弱ってる時に、柚藤が親身になって励ましてくれたから」
弱ってる時ってどんな時かと尋ねると、警察なら秘密守ってくれますよねと言って語り始めた。

それは縫井が飲料水のCMに出演した時のことだった。
縫井には当時、スランプで苦しんでいる後輩がいた。なんとかして元気づけたいと思っていた。
それで、縫井がトランペットを吹いている映像に、後輩が演奏した音を重ね合わせて放送したのだ。
「このCMを見たファンはきっとこの演奏を手放しでほめるに違いない。これが後輩の自信につながれば」

しかし結果は裏目に出た。
「縫井クルミにしては上手くない」「縫井が衰えた」「老いには勝てない?」などとけなされたのだ。
後輩は悩み苦しんだ。そしてついに
「私は、クルミさんにはなれませんでした」
と言い残して音楽界から姿を消してしまったのである。

縫井は大いに傷つき嘆いた。演奏もヘタクソになってしまった。
後輩を憐れみ、「おれのせいだ、おれのせいだ」と泣きじゃくる縫井に柚藤は言った。
「いい加減にしろよ、お前!」
そして縫井は元気を取り戻し、前より上手に演奏できるようになったのであった。
(なぜこんなセリフで元気を取り戻したのかは永遠の謎だ。)

柚藤が縫井をかわいく思ってることがわかった。帰り道、杉下は神戸に当日のライブでおかしな事はなかったか聞く。
すると、このカルテットの十八番である、あの曲を演奏しなかったことを思い出した。
曲名『階段から突き落としちゃった』

期待してる曲を演奏しなかったのには理由があるはずだ。
もしかして階段から突き落とした直後だから、階段から突き落としちゃったという歌詞を歌いたくなかったのか。
あるいは何かほかに理由があるのか。

建物中を探して、保管庫から血痕が出た。殺害現場は保管庫だったのである。
ライブが始まる前にすでに殺されていたのだ。
ついに「衣装変えの時間にタバコを吸っていた」という証言を崩したのだった。

柚藤を連行しようとするが「こういう時って、令状を持ってくるのが礼儀だろ」と説教しはじめた。優等生だけに。
そして、ライブの時間になった。杉下と神戸、捜査一課トリオと米沢も観客にまぎれている。

♪ ♪ ♪

演奏は好調だった。柚藤が次で最後の一曲だと告げた時、杉下がスッと手を挙げた。
「『階段から突き落としちゃった』をお願いします」
杉下のリクエストに、柚藤は縫井のほうをチラリと見てから、笑みを浮かべてうなずいた。
縫井は、トランペットにミュートを装着した。

♪ ♪ ♪

演奏を終えた4人は満足そうな表情で「最高の夜をありがとう」と言って、ステージを降りていった。
米沢は「三年に一度あるかないかの珠玉の時間だったようですな」と感想を述べた。
もうすでに杉下と神戸が席を立っていることに気づいて、あわてる捜一トリオ。

楽屋にぞろぞろと全員集まってくる。柚藤は「取り調べ室ってちょっと興味あるんだよね」と余裕の発言。
杉下が推理を披露する。

殺害現場は保管庫。しかし柚藤が遺体を階段へと運んで落としたのだった。
なぜかというと現場に、翔子の遺体と、血液がついたトランペットのミュートがあったので、縫井が殺したのだと思い、隠蔽しようとしたのだ。
でもそれは間違いだった。犯人は縫井ではないのだ。

Pさんは、翔子をかわいいと言ったが、とてもじゃないが、かわいくない。
柚藤を脅したり、歌手の目の前でタバコを吸おうとしたり、苦しんでいる縫井を笑ったり、ウソ感想文を書いたり、どう考えても かわいくない人種だ。
Pさん……或前鳥利は、翔子を憎んでいた。だが正直にそう言ったら殺人がバレてしまうと思ってウソを言ったのだ。

翔子は或前には媚びを売っていたが、カルテットメンバーのことは見下して鼻で笑ってバカにしていた。
カルテットは或前が選んで大事に育てた宝物だった。彼らをバカにされるのは自分をバカにされるより悔しかった。

媚びる理由も、父親に似ているから、という気持ちの悪いものであった。
父親とうまくいってないからって、年の離れた上司に父性を求めて甘ったれていたのである。
或前にとって翔子は不快極まりない存在だった。

そして事件当日、ライブが始まる直前に、或前は保管庫に呼び出された。翔子は柚藤をクビにしてほしいと言った。
理由は柚藤が翔子に 「お前が俺のことを鬼畜だと言いふらしたところで誰がお前を信じるか。ウソつき呼ばわりされるのがオチだぜ。やめとけよ」と 言ったからだ。柚藤は口止め料を払わなかったのである。
それを聞いて或前は、うんざりしながら言った。
「柚藤君に落ち度はないよ。問題があるとしたら君のほうなんじゃないか?演奏者を脅迫するなんてさ」
すると翔子は怒り狂って襲ってきたのだ。暴力的な人間だ。かわそうとして突きとばしたら、頭を打って死亡してしまった。 そして、たまたま縫井が置き忘れていたミュートに血液が飛んだのだ。

「隠すつもりなんてなかったんだ。ライブが終わったら自首しようと思っていた。でも死体が移動してたから怖くて言えなかった」 或前は連行された。

縫井は柚藤に言った。
「なぜこんなことを?死体を動かすことだけでも罪になるのに。おれを守るために?」
「違うね。うぬぼれるんじゃないよ、お前」
「今は柚藤の言うことをそのまま聞いちゃいけない気がする。だって柚藤すごく弱ってるじゃないか」
縫井は笑顔を作った。
「ありがとう柚藤。犯罪は悪い事だけど、おれのことを大切に思ってくれているのはわかるから」
笑顔だが、しかし縫井の顔は悲しみに包まれていた。自分のせいでまたしても大切な人が去ってしまうのだから。
縫井を守ろうとして行ったことは、結果的に縫井をおおいに苦しませただけだった。

それから彼らは二度とカルテットで演奏することはなくなった。

なぜかというと、「やっぱりトランペットを諦めたくない」と戻ってきた縫井の後輩と、 起訴猶予がついた柚藤を含めた、クインテットで演奏するようになったからである。

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